令和7年の年頭に当たって

年頭のごあいさつ

林業・木材製造業労働災害防止協会
会長 中崎 和久

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 新年を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
 令和7年の年頭に当たり、林材業における労働災害防止活動にご尽力いただいております会員事業場の皆様をはじめ、当協会の事業運営にご指導、ご支援をいただいております関係行政機関並びに関係団体の皆様方に心から感謝申し上げます。

 今年は、令和5年度からスタートした林材業労働災害防止計画(5カ年計画:令和5年度~令和9年度)(以下「5カ年計画」といいます。)の3年目の年となります。

 5カ年計画では、林業における伐木等作業の「激突され」災害や木材製造業における「はさまれ・巻き込まれ」災害などを中心とした災害防止対策の徹底を図り、究極の目標である「労働災害ゼロ」を目指し林材業の安全衛生水準の向上を期すため、計画の進捗状況を把握するためのアウトプット指標(※1)と計画の効果検証をするためのアウトカム指標(※2)を定め、これらの指標を目指して、①林業・木材製造業労働災害防止規程(以下「災防規程」といいます。)の遵守、災防規程の変更と周知、②リスクアセスメントの普及と実施の推進、③安全衛生教育の確実な実施など四つの林材業共通重点対策と林業、木材製造業それぞれ個別の重点対策の推進に取り組んでいるところです。

 本年は5カ年計画の3年目として、協会では5カ年計画の実施状況の確認と評価を行うとともに、その結果や関係法令の改正の状況等を踏まえて労働災害防止対策の取組をさらに進めてまいります。

 また、昨年は新しい事業として、事業者による「伐木初心者に対する伐木実技訓練マニュアル」(以下「事業者訓練マニュアル」といいます。)を作成し、伐木初心者に対して事業者が自ら実施する伐木作業に関する職場内研修を安全かつ効果的に実施できるよう、訓練の考え方、訓練の方法、習得度の確認方法などについての説明会を実施したところです。

 本年は事業者訓練マニュアルの普及をさらに進めるとともに、訓練マニュアルによる職場内訓練が困難な会員事業場のため、その求めに応じて支部が事業場に代わって伐木実技訓練を実施できるよう受託訓練マニュアルに基づく受託訓練を実施できるよう準備を進めてまいります。

 さらに、令和5年12月11日に適用された変更災防規程については、令和6年度までを「変更災防規程の集中定着期間」として集団指導会、個別指導、安全パトロール等を通じて周知、指導を行っているところです。林業及び木材製造業における労働災害に関して当協会の安全管理士が現場安全パトローを行ったところ、災防規程のいずれかの規定に抵触している事業場が林業で5割、木材製造業で8割あり、災防規程が守られていないことが労働災害の発生の大きな要因の一つと考えられます。引き続き、現場安全パトロール等をはじめ災防規程の周知と遵守に取り組んでまいります。

 また、これまで進めてきた「林野庁等と連携した活動の展開」、「業界全体の安全衛生活動底上げに係る事業」、「林材業における労働災害再発防止対策事業」、「実践的リスクアセスメント導入のための安全衛生教育訓練事業」、「振動障害予防のための特殊健診等の定着促進事業」を引き続き進めるとともに、個人事業者等の安全衛生対策など新たな課題への対応を検討してまいります。

 令和7年度に当たりましても、5カ年計画に基づく労働災害防止対策を進め、林材業における労働安全衛生分野の専門家集団として、林材業の作業特性を的確に捉え、長年にわたり蓄積した労働災害防止の知見と経験を活かし、本部・支部が一体となった取組みを進め、会員事業場の皆様をはじめ、林材業関係者の皆様への支援、援助を図ってまいりますので、当協会の活動に対しまして引き続きご支援とご協力を頂きますよう、お願い申し上げます。

 最後になりましたが、皆様方のご安全とご健康を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

 ※1 アウトプット指標 計画の進捗状況を把握するための指標。2027年(令和9年)までに、林業で①「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」に基づく措置を実施する会員事業場を50%以上とすること、②車両系木材伐出機械作業による労働災害防止のための措置を実施する会員事業場を50%以上とすること、また、木材製造業で①機械による「はさまれ・巻き込まれ」災害防止のための措置を実施する会員事業場を60%以上とすること、②非定常作業における林業・木材製造業労働災害防止規程に基づく措置を実施する木材製造等事業場を有する会員事業場を30%以上とすること。
 ※2 計画の重点対策の効果検証をするための指標。①死亡災害は、林業・木材製造業とも2022年(令和4年)と比較し2027年(令和9年)までにそれぞれ15%以上減少させること、②死傷災害は、林業・木材製造業とも2022年と比較し2027年までにそれぞれ5%以上減少させること及び木材製造業の機械による「はさまれ・巻き込まれ」の死傷災害を5%以上減少させることをめざす。