令和8年の年頭に当たって

年頭のごあいさつ

林業・木材製造業労働災害防止協会
会長 中崎 和久

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 新年を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
 令和8年の年頭に当たり、林材業における労働災害防止活動にご尽力いただいております会員事業場の皆様をはじめ、当協会の事業運営にご指導、ご支援をいただいております関係行政機関並びに関係団体の皆様方に心から感謝申し上げます。

 令和6年における林材業の労働災害の発生状況をみますと、死亡災害は林業で31人と前年より2人増加、木材製造業で4人と前年より5人減少となりました。また、休業4日以上の死傷者数は林業は1,167人で前年より27人、2.4%の増加、木材製造業は1,025人で前年より49人、4.6%の減少となり、死傷災害は林業は前年より増加、木材製造業は前年より減少しました。
 令和7年(11月7日現在)では、死亡災害は林業で21人と前年同期と同数、木材製造業で2人と前年同期より1人減少となっています。

 さて、今年は、令和5年度からスタートした林材業労働災害防止計画(5カ年計画:令和5年度~令和9年度)(以下「5カ年計画」といいます。)の4年目の年となります。
 協会では、この5カ年計画の目標の達成に向け、より一層の労働災害防止対策の推進に取り組んでいきたいと考えています。

 5カ年計画の具体的取組として、①伐木等作業における労働災害の撲滅を目ざした「林野庁等と連携した特別活動」の展開、②伐木作業者に対する能力向上教育の充実のための教育、講師の養成等の調査研究、③事業者による伐木初心者に対する伐木実技訓練のためのマニュアルに基づく職場内研修の普及、④安全管理士等による小規模事業場への集中・個別指導、⑤高年齢労働者・新規就業者の特性も踏まえた「実践的リスクアセスメント導入のための集団指導会」の開催、⑥災防規程の遵守徹底に係る指導、⑦作業計画の適切な作成への指導・援助、⑧振動障害予防のための特殊健診等の定着促進など、各種対策を確実に実施していきます。

 令和6年の林業における死亡労働災害をみると、74.2%を伐木造材作業が占めており、過去5年間における構成比62.3%を11.9ポイント上回っています。
 こうしたことから、「伐木等作業における労働災害撲滅に向けた対策に係る取組」として、「林野庁等と連携した活動の展開」、「伐木等作業者に対する教育、講師の養成等の委員会による検討」、「事業者による伐木初心者に対する伐木実技訓練マニュアルに基づく訓練の実施」など伐木造材作業中の労働災害防止を強力に進めるとともに、「業界全体の安全衛生活動底上げに係る事業」、「林材業における労働災害再発防止対策事業」、「実践的リスクアセスメント導入のための安全衛生教育訓練事業」、「振動障害予防のための特殊健診等の定着促進事業」を引き続き進めてまいります。

 また、林業及び木材製造業における労働災害に関して当協会の安全管理士が現場安全パトローを行ったところ、災防規程のいずれかの規定に抵触している事業場が林業で5割弱、木材製造業で8割弱ありました。引き続き、現場安全パトロール等をはじめ災防規程の周知と遵守に取り組んでまいります。

 加えて、昨年5月、個人事業者等に対する安全衛生対策の推進、高年齢労働者の労働災害防止の推進、機械による労働災害の防止の促進、化学物質による健康障害防止対策等の推進、職場のメンタルヘルス対策の推進などを主な内容とした労働安全衛生法等が公布されました。協会としましても、これら労働安全衛生に関わる行政の動きに対応し、改正関係法令を包含した林業・木材製造業労働災害防止規程の変更をはじめ、新たな取組みを進めていくこととしております。

 令和8年度に当たりましても、5カ年計画に基づく労働災害防止対策を中間的な総括を行いながら進め、林材業における労働安全衛生分野の専門家集団として、林材業の作業特性を的確に捉え、長年にわたり蓄積した労働災害防止の知見と経験を活かし、本部・支部が一体となった取組みを進め、会員事業場の皆様をはじめ、林材業関係者の皆様への支援、援助を図ってまいりますので、当協会の活動に対しまして引き続きご支援とご協力を頂きますよう、お願い申し上げます。

 最後になりましたが、皆様方のご安全とご健康を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。