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災害事例研究 No.177 【林業】

盤台撤去作業中に盤台とともに沢へ墜落

丸太を組んで沢の上に設置した荷下ろし盤台の撤去作業中に、被災者がのっていた丸太を組んでいるワイヤロープを切断したところ、被災者がのっていた丸太数本とともに約4m下の沢へ墜落。

災害の発生状況

 被災者の所属する事業場は、スギ、ヒノキ人工林(約5ha、皆伐)において、チェーンソーによる伐木造材、機械集材装置による木寄せ、集材、トラックでの市場等へ搬送する事業を受注し、事業者を含む5人で作業を行った。被災者は、主に荷下ろし及び造材を担当していた。受注した事業がほぼ終了したことから、当日は、盤台の撤去(被災者含む2人)、トラックによる丸太の運搬(2人)、木材グラップル機によるトラックへの積込み(1人)で作業を行っていた。当日は、朝礼や作業指示等は行われず、作業者がそれぞれの持ち場において、作業を開始した。
 被災者は、同僚1人とともに、ワイヤロープを使って丸太を組んだ荷下ろし盤台の撤去作業に従事していた。当該盤台は、林道路肩から沢の対岸まで約8mに丸太十数本を並べて渡し、それらはワイヤロープにより組まれていた。被災者は、自身がのっている当該盤台の丸太を組んでいるワイヤロープを切断したため、のっていた丸太が崩れ落ち、被災者は4m下方の沢に丸太とともに墜落した。

災害の発生原因

  1. 盤台の撤去作業に際し、盤台の構造等に即し、リスクアセスメント等の結果を踏まえた作業計画が作成されていなかったこと。
  2. 高さが2m以上の箇所での作業において、作業床を設けられない場合に、防網を張る等の墜落防止措置を講じていなかったこと。
  3. 作業指揮者が同作業計画に基づく作業手順を定めて作業の指揮を行わなかったこと。

災害の防止対策

  1. 盤台の撤去作業を安全に行えるよう、盤台を沢を越えた林道側に設ける等の措置を講じること。
  2. 盤台撤去作業においては、盤台の構造を把握し、リスクアセスメントを行って作業計画を作成すること。
  3. 作業指揮者を定め、作成した作業計画に基づき、安全な方法による作業手順を定めて作業内容の指示を徹底すること。
  4. 高さが2m以上の箇所で作業を行う場合で、作業床を設けられないときは、防網を張る等の措置を講じること。

〈労働安全衛生規則〉
(調査及び記録)
第151条の124 事業者は、林業架線作業(機械集材装置若しくは運材索道の組立て、解体、変更若しくは修理の作業又はこれらの設備による集材若しくは運材の作業をいう。以下同じ。)を行うときは、集材機又は運材機の転落、地山の崩壊、支柱の倒壊等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について広さ、地形、地盤の状態等、支柱とする立木の状態及び運搬する原木等の形状等を調査し、その結果を記録しておかなければならない。

(作業計画)
第151条の125 事業者は、林業架線作業を行うときは、あらかじめ、前条の規定による調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。
2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。
一 支柱及び主要機器の配置の場所
二 使用するワイヤロープの種類及びその直径
三 中央垂下比
四 最大使用荷重、搬器と搬器の間隔及び搬器ごとの最大積載荷重
五 機械集材装置の集材機の種類及び最大けん引力
六 林業架線作業の方法
七 労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病者の搬送の方法
3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項第1号、第2号、第4号、第6号及び第7号の事項について関係労働者に周知させなければならない。

(作業指揮者)
第151条の128 事業者は、林業架線作業(令第6条第3号の作業を除く。)を行うときは、当該作業の指揮者を定め、その者に第151条の125第1項の作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならない。

(作業床の設置等)
第518条 事業者は、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
2 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

〈林業・木材製造業労働災害防止規程〉
(作業計画)
第190条 会員は、林業架線作業を行う場合は、第188条の調査結果及び前条のリスクアセスメントの結果に適合し、かつ、次の各号に掲げる事項を含む作業計画を定め、当該作業計画に基づき作業を行わなければならない。
(1) 支柱及び主要機器の配置の場所
(2) 使用するワイヤロープの種類及びその直径
(3) 中央垂下比
(4) 最大使用荷重、搬器と搬器の間隔及び搬器ごとの最大積載荷重
(5) 機械集材装置の集材機の種類及び最大けん引力
(6) 林業架線作業の方法
(7) 緊急車両の走行経路、緊急連絡先及び携帯電話等又は無線通信による通信が可能である範囲
(8) 労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病者の搬送方法
(9) 調査及び記録を踏まえたリスクアセスメント結果に基づくリスクの低減対策
2 (略)

(盤台)
第210条 会員は、盤台を作設する場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
(1) 荷重に対して耐え得る構造とすること。
(2) 盤台を構成する支柱、けた、はり等は、鉄線、ボルト等により確実に固定すること。
(3) 高さが2メートル以上の盤台にあっては、墜落防止設備を設けること。
(4) 安全な場所に退避場所を設けること。